2013.12.16
203・「ミスティックドラグーン」
![]() | ミスティックドラグーン (1999/06/17) PlayStation 商品詳細を見る |
タイトル・ミスティックドラグーン
発売年・1999
機種・PS
ジャンル・RPG
メーカー・エクシング
まずは、ちと物騒な話になるが、ご了承を。
例えば、ドラえもんでおなじみのタイムマシーンで過去の世界に行くとして。
少年・Xにとって、自分の親(以下人物・Z)が気にいらない人物、さらには現在ではなく、ひっそりと過去の世界で存在を消し去りたい。
そして、過去の世界に行き、子供のころのZを殺害してしまう。
すると、そう、そのZは、結婚、出産をしないまま死ぬということで、生まれてきたXも、生まれないという現象、生まれない人が生まれない人を殺害するということが起こってしまうのだ。
もっとも、タイムマシンに乗って、今現在の我々に会いにくる未来人が全く来ないということは、そういうことなのでしょうが。
他のフィクションの世界では、その過去の世界はパラレルワールドだったとか、結局、親殺しは絶対に出来ない、という方法で切り抜けるケースがあるようだが。
あ、すいません、こんな話をして、飽くまでたとえ話です。(汗)
以上、一例としての通称・親殺しのパラドクックスのたとえ話でした。
それに以下紹介するゲームでは、おそらく親殺しは行いませんので…おそらく。
さて、本題。
ポリゴンだムービーだ、飲めや歌えで全盛期を楽しんでいる一方で、PS2への過渡期に踏み入れており、各社、新ハードへの売り込みをも考えていたPS1の1999年。
そんななかで、「3Dポリゴンでは絶対にできません!」(大意)という2D復古の大号令のもとで打ち上げられたのが、PS1のRPGミスティックドラグーン。
まあ、まんざら間違いではない、敵モンスター等、随所に細かく描かれた描写が存在する。
ただ、このパステル調の色彩は意外に明るくてケバイ。
長時間直視するのは難しいので、1時間ごとに小休止した方がよさそうだ(どのゲームもそうか。)
戦闘の特徴となっているのが、フリーターンシグナルバトルというもの。
サイドビューの戦闘で、最大5人までが参加できる戦闘シーン。
1ターン、2ターンというものではなく、常にリアルタイムで戦闘が進行し、順番が回ってきたらコマンド入力するというもの。
そして戦闘に参加する敵味方それぞれに、シグナルが設定されていて、赤、黄、緑の3色が交代で表示される。
戦闘開始時は黄、コマンド入力すると赤になる。
一応、赤の状態でも次のコマンド入力できるが、待っていると、黄、緑になり、より攻撃の命中率が上がってくるという。
が、敵はシグナルが赤状態でも構わず、攻撃を仕掛けてくるのだ。
しかも、である、名目上赤では半分ほどしか攻撃は当たらない、実際はどの色でも大差はなく、赤状態でもゆうに攻撃があたってくれるのだ。(体感上赤と緑の差は命中率にしてだいたい20%ほど?)
他のRPGに置き換えても赤状態は許容範囲の命中率、こうなったらどんどん信号無視して攻撃をぶち込んでいくしかないのだ。
しかも、敵…というか、さすがCOM、コマンド入力が早いこと。
故に、だいたいの戦闘で敵からの攻撃でスタートすることになってしまう。
そして、魔法のエフェクトはやや長め、それがかえってコマンド入力等の時間稼ぎになっている状況である。
で、コマンド入力方法は、中央に通常攻撃、十字キーで上下左右を押しながらアイテム、特殊攻撃等を選ぶというもので、それなりの慣れも必要になってくる。(無論、慣れていない初戦闘のうちからどんどん攻撃してくるのだが)
弓攻撃等一部攻撃、および回復魔法などは、かける人物を一人一人指定してからかけるので、その間に2回敵に攻撃されるケースもあ
上記通り、魔法のエフェクトの時間を利用する戦略が必要になっている。
また、状態異常の数も多く、その数なんと20以上!
ゆえに、半数の敵は状態異常攻撃持ちである、治療法、アイテムも常に持っていきたい。
そして、ドロップアイテムだが、今作の敵は、倒し方しだいで敵のドロップアイテムも変化するという。
その種類も例えば、単に通常攻撃と魔法攻撃、というだけでなく、それぞれの属性攻撃、武器の種類、さらには、連携の順番においてもかわってくるというものである。
すべてのザコ敵を試すには、膨大な量の倒し方を実践する必要がある。
他には、クリフたちは時に竜に乗って戦闘することや、移動することもある。
その際は、通常攻撃の代わりに体当たり、ブレスといった攻撃で戦闘することになる。
魔法は街にいるエルフに教えてもらう。
回復魔法等、パーティ全員が使えるという意味では、便利な一面もある。
さて、今作のストーリーである。
竜戦争が終結してから25年、AD(アフタードラグーン)25年、ある竜に乗った暗殺者が航時(時間移動の術)を使って、過去の東ゾンマー王国に送り込まれる。
AD5年、東ゾンマー王国、AD25年から航時してきた竜騎士が城の設計者を暗殺。(その暗殺者も乗ってた竜に始末させられる。)
そしてAD25年の東ゾンマー王国、民衆の前に現れた東ゾンマー王国の国王が、突如、城と共々に消えるという現象が発生したのだ。
かくして作戦は成功した。
故に、最初からないはず王国の城が、突如民衆の前から城が消えるというのはどういうメカニズムなのかが…。(さらにいえば、民衆が城の前に集まった理由も消える。)
AD47年、主人公のクリフは、東ゾンマー王国の山奥の村で穏やかに暮らしていた。
幼いころに、竜に運ばれてやってきたというクリフは、遊び仲間である、ユーゴ、バド、ロキシ、そして幼い少女ミラ。
皆とかくれんぼしたりして、仲よく遊んでいた。
またクリフは、この時妖精と出会うことになり、(ヘルプ含めたお助けキャラ的な)彼女と以後行動する。
今作の登場キャラは、アニメーターの神村幸子さんがデザインしているのだが、度々そのイラスト共々ゲーム中で詳細を確認できる。
久々のプレイでストーリーが分からなくなったときに便利だ。
そしてAD50年いよいよ物語が動き出す。
クリフ達5人、そして、何人かの大人たちと洞窟に入り、小さな竜を発見する。
すると、村が兵士たちに襲われて、焼かれてしまう。
そしてクリフたちは・・・なんとである、いわばやられたらやり返す精神の元に、竜騎士になりたいとパメラ、Bクイン(ビア・クイン)、Cクイン(シャンパン・クイン)らに志願するのであった。
少年少女、危険な旅、しかし、「やってみなきゃわからない。」ということで、竜騎士になってみたのでありました。
Bクイン、Cクインというのは通称ではあるのですが、セリフウインドウについては、キャラ名がなぜか3文字までしか表示されず、クリフ、ミラならセーフなのですが、ビアクインは「Bクイ」にされたり、ソリッシュという人物に至っては「ソリッ」と表示されてしまうのだ。
せっかくキャラクターデザインに、アニメーターの神村幸子さんを起用したのだから、名前よりも、顔ウインドウで表示とか、上部に名前を表示、という形をとればよかったのに。
OPで暗殺者が航時したが、今作では、主人公自身も何度航時することになる。
時に過去へ、時に未来へ。
なのだが、今作の場合、時間移動、作中の言葉でいう航時には、いくつかの条件が必要となる。
ワープしたいその年代の品物を持って、航時竜に乗ってピュアウォーター、主にそういったことだが、これが目的の年代の物がなくても時間移動どうできる、といった初期設定が、ないがいろにされるという現象が度々おこっているのだ。
一方で、ゲームのパッケージに描かれているのは、主人公のクリフとヒロイン格のエルミス(notエルミ)であるのだが、エルミスが作中に姿を現すのは、物語の後半部分からである。
エルミスはクリフ達とは敵対する国の3姉妹の王女の次女。
だが、あることをきっかけに2人きりで、20年後の未来の世界にも行くことになる。
となると、そう、成長したミラ(10歳→30歳)等他の人々も登場することになる。(ゲームには説明書とイラスト集が同封されていたが、ミラが10歳の割に大人びて描かれている…のはこのためである。)
ただ、パーティメンバー自体は、そのエルミス、ミラ等、主人公自身も航時する関係上、他のメンバーは頻繁に入れ替わってくる。
その後、クリフ達はさらに航時を重ねて、最大5人パーティのところを、2人で最終ボスを倒して、エンディングを迎えるのでありました。
しかし…うむ…。
多くは言えませんが、ようするに、ある時代であのラスボスと戦ったということは…。
もっとも、時の女神・クロノスが登場させたということは、もう、そういうことなのでしょうが。
そうなると、年代物だとか、ピュアウォーターとかも、その気になればいくらでも後付できてしまうのでしょう、はい。
いわば軽い感じのデウスエクスマキナって奴でしょうか。
おそらく、今作は、大作RPGを形から入ったタイプの作品であろう。
竜というのは、RPGのテンプレ的存在だったし、時間移動の設定も子どもの頃どれだけわくわくさせられたかというもの。
終盤のクリフ達のピンチに、仲間が駆けつけるというものは、昔のヒーローものの熱い展開に重なる。
そこに新しいアイデアを盛り込んで発売した。
いざ、小さいころ、クリエイターになったらこんなことをやってみたい、というものを実際にやったということだろうか。
だが、実際は…まあ、後は自分の目で確かめてほしいものです、はい。
形で始まり、形で終わるということでしょうか。
その形にしても重要なシーンに「ソリッ」とか見せられてはなあ。
もっとも、ミスティック、日本語で神秘的というのは、人知を超えた不思議なことという意味がある。
出来るわけないマニフェストを掲げる政治家が悠々当選したり、食品を偽装してお客様に出すレストランが各地で繁盛しているこの世の中においては、看板に偽りないという意味では、貴重な存在だったかもしれません。
そして、今作度々登場する「やってみなきゃわからない」、というフレーズも、深いなあと感じてしまいます。
まあ、誰がどうわからなかったのは、わからないということなのでしょうか。
スポンサーサイト
Trackback
Comment